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第36話 疑われ続けた家令が、初めて嘘を認めた夜

last update Tanggal publikasi: 2026-10-07 20:10:37

第36話 疑われ続けた家令が、初めて嘘を認めた夜

 帰国の機内で、玲司はほとんど眠らなかった。

 眠れなかった、というほうが正しいのだろう。

 窓の外には雲しか見えず、機内は静かだったが、彼の膝の上に置かれた端末には何度も同じ資料が映し出されていた。カナダのホテルで撮られた写真、そこに写り込んだ不審な男の右手、太い黒色の指輪。そして篠崎から届いた、かつて九条家のファミリーオフィス創設三十周年を記念して十二人の幹部へ贈られたというリングの記録。

 現役で九条家の周辺に残っている受領者は、榊宗一郎ただ一人。

 それだけなら疑う材料になる。

 しかし結衣は、もう「だから榊が犯人だ」とは思わなかった。

 この数日だけで、何度も学んだからだ。

 それらしい証拠ほど、人を簡単に間違った場所へ連れていく。

「まだ見てるんですか」

 隣から声をかけると、玲司は画面から目

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